「LPガスってよく聞くけど、都市ガスと何が違うの?」「料金が高いイメージがあるけど本当?」「安全性は大丈夫?」そんなLPガスに関する様々な疑問や不安をお持ちではありませんか?
この記事では、LPガスの基本的な仕組みから、都市ガスとの具体的な違い、気になる料金が高いと言われる理由まで、LPガスに関する情報をわかりやすく解説します。
LPガスとは?

私たちの生活に欠かせないエネルギーの一つであるガス。その中でも「LPガス」という言葉を図面などで見る機会は多いのではないでしょうか。
しかし、具体的にどのようなものなのか、都市ガスやプロパンガスと何が違うのか、詳しく知らない方もいらっしゃるかもしれません。まずは、LPガスの基本情報から見ていきましょう。
LPガスとは何の略?
LPガスとは、「Liquefied Petroleum Gas」の頭文字をとった略称で、日本語では「液化石油ガス」といいます。その名の通り、石油から分離されたり、天然ガスを精製する過程で取り出されたりするガスを、圧力をかけたり冷却したりすることで液体にしたものです。
「プロパンガス」とは違うの?
LPガスという言葉とともによく聞くのが「プロパンガス」です。
結論から言うと、家庭で使われるLPガスの主成分がプロパンであるため、一般的に「LPガス≒プロパンガス」として認識されています。
LPガスはどうやって家に届く?
LPガスは、都市ガスのように地下のガス管を通じて供給されるのではなく、各家庭や施設に個別にガスボンベを設置して供給されます。
- ガスボンベによる個別供給方式
- LPガス販売事業者が、LPガスを充填したガスボンベを定期的に配送し、空になったボンベと交換することでガスを供給します。一般的には、2本以上のボンベを設置し、1本が空になるともう1本に自動的に切り替わる仕組みになっているため、ガス切れの心配はほとんどありません。
- LPガス販売事業者が、LPガスを充填したガスボンベを定期的に配送し、空になったボンベと交換することでガスを供給します。一般的には、2本以上のボンベを設置し、1本が空になるともう1本に自動的に切り替わる仕組みになっているため、ガス切れの心配はほとんどありません。
- 集中プロパン方式について
- 比較的大規模なマンションや団地、一定エリア内の戸建て住宅群などでは、敷地内に大型のLPガス貯槽を設置し、そこから各戸へ地中の配管を通じてガスを供給する方式です。見た目は都市ガスと似ていますが、供給されるガスはLPガスです。
- 比較的大規模なマンションや団地、一定エリア内の戸建て住宅群などでは、敷地内に大型のLPガス貯槽を設置し、そこから各戸へ地中の配管を通じてガスを供給する方式です。見た目は都市ガスと似ていますが、供給されるガスはLPガスです。
- ガスボンベの設置場所と交換について
- ガスボンベは、通常、屋外の風通しの良い、直射日光や雨風を避けられる場所に設置されます。交換作業は専門の業者が行い、消費者は特に何かをする必要はありません。ガス会社が定期的に残量を確認し、適切なタイミングで交換してくれます。
- ガスボンベは、通常、屋外の風通しの良い、直射日光や雨風を避けられる場所に設置されます。交換作業は専門の業者が行い、消費者は特に何かをする必要はありません。ガス会社が定期的に残量を確認し、適切なタイミングで交換してくれます。
LPガスと都市ガスのメリットとデメリット

LPガスと並んでよく耳にするのが「都市ガス」です。どちらも私たちの生活を支える重要なガスエネルギーですが、その性質や供給方法には大きな違いがあります。ここでは、LPガスと都市ガスの違いを様々な角度から比較し、それぞれの特徴を明らかにしていきましょう。
- メリット
- 供給エリアが広い(全国どこでも利用可能)
- 災害時の復旧が比較的早い(個別供給のため)
- 火力が強い(単位体積あたりの発熱量が高い)
- 初期費用を抑えられる場合がある(無償貸与契約など)
- デメリット
- 都市ガスに比べて料金が高い傾向がある
- ガスボンベの設置スペースが必要
- ガス会社を選びにくい場合がある(地域による)
- メリット
- LPガスに比べて料金が安い傾向がある
- ガスボンベの設置スペースが不要
- ガス会社を選べる(自由化が進んでいるため)
- デメリット
- 供給エリアが限定される(ガス導管のある地域のみ)
- 災害時に広範囲で供給がストップした場合、復旧に時間がかかることがある
- 初期費用(引き込み工事など)が高くなる場合がある
これらの違いを理解した上で、ご自身の状況に最適なガス種を選ぶことが大切です。
LPガスの料金が高いと言われる理由とは?

LPガスを利用する上で、多くの方が気になるのが「料金」ではないでしょうか。「LPガスは都市ガスよりも高い」というイメージをお持ちの方も少なくないでしょう。
ここでは、LPガスの料金体系の仕組み、なぜ高いと言われるのか、そして賢く節約する方法について詳しく解説します。
LPガスの料金体系
LPガスの料金は、一般的に「基本料金」と「従量料金」の2つの要素で構成される「二部料金制」が採用されています。これは都市ガスと共通の考え方です。
- 基本料金の内訳
- 基本料金は、ガスの使用量に関わらず毎月固定でかかる費用です。これには、ガスボンベやガスメーター、調整器といったガス供給設備の費用や、これらの設備の定期的な点検・交換費用、保安管理(ガス漏れ点検など)にかかる人件費などが含まれています。ガスを安全に利用するための維持管理費と考えると良いでしょう。
- 基本料金は、ガスの使用量に関わらず毎月固定でかかる費用です。これには、ガスボンベやガスメーター、調整器といったガス供給設備の費用や、これらの設備の定期的な点検・交換費用、保安管理(ガス漏れ点検など)にかかる人件費などが含まれています。ガスを安全に利用するための維持管理費と考えると良いでしょう。
- 従量料金の内訳
- 従量料金は、実際に使用したガスの量に応じてかかる費用です。LPガスの原料費、ガスボンベの配送費、充填費用などがこれにあたります。一般的に、1m3(立法メートル)あたりの単価が設定されており、「従量単価 × ガス使用量(m3)」で計算されます。
ガス会社によっては、使用量が増えるほど従量単価が安くなる「スライド式料金制度」や、一定の使用量までは定額で、それを超えると従量料金が加算される「最低責任使用料金制度」などを採用している場合もあります。
- 従量料金は、実際に使用したガスの量に応じてかかる費用です。LPガスの原料費、ガスボンベの配送費、充填費用などがこれにあたります。一般的に、1m3(立法メートル)あたりの単価が設定されており、「従量単価 × ガス使用量(m3)」で計算されます。
つまり、毎月のLPガス料金は、「基本料金 +(従量単価 × ガス使用量)」で計算されるのが基本です。
なぜLPガスは都市ガスより高い?
LPガスが都市ガスと比較して料金が高い傾向にあるのには、いくつかの理由があります。
- 配送コストと人件費
- LPガスは、ガスボンベを各家庭にトラックで配送し、設置・交換する必要があります。この配送コストや、それに関わる人件費がガス料金に上乗せされるため、地下導管で一括供給される都市ガスよりもコストがかかりやすくなります。特に、配送先の距離が遠い場合や、交換頻度が高い場合は、その分割高になる傾向があります。
- LPガスは、ガスボンベを各家庭にトラックで配送し、設置・交換する必要があります。この配送コストや、それに関わる人件費がガス料金に上乗せされるため、地下導管で一括供給される都市ガスよりもコストがかかりやすくなります。特に、配送先の距離が遠い場合や、交換頻度が高い場合は、その分割高になる傾向があります。
- 原料価格の変動と輸入依存
- LPガスの原料であるプロパンやブタンは、その多くを海外からの輸入に頼っています。そのため、原油価格や為替レートの変動、国際情勢などによって原料の調達価格が大きく影響を受けます。原料価格が上昇すれば、それがガス料金にも反映されやすくなります。この原料価格の変動を調整するために「原料費調整制度」を導入しているガス会社もあります。
- LPガスの原料であるプロパンやブタンは、その多くを海外からの輸入に頼っています。そのため、原油価格や為替レートの変動、国際情勢などによって原料の調達価格が大きく影響を受けます。原料価格が上昇すれば、それがガス料金にも反映されやすくなります。この原料価格の変動を調整するために「原料費調整制度」を導入しているガス会社もあります。
- 自由料金制と地域・業者間の価格差
- LPガスの料金は、一部の例外を除き「自由料金制」となっており、各ガス会社が個別に料金を設定できます。都市ガスも2017年4月から小売全面自由化が始まりましたが、LPガス業界はそれ以前から長らく自由競争下にありました。しかし、地域によっては競争相手が少なく、価格競争が働きにくい場合もあります。また、ガス会社ごとに経営方針やサービス内容が異なるため、同じ地域でも料金に差が出ることがあります。
これが、「LPガスは高い」というイメージの一因となっている可能性も指摘されています。消費者としては、複数のガス会社を比較検討することが重要になります。
- LPガスの料金は、一部の例外を除き「自由料金制」となっており、各ガス会社が個別に料金を設定できます。都市ガスも2017年4月から小売全面自由化が始まりましたが、LPガス業界はそれ以前から長らく自由競争下にありました。しかし、地域によっては競争相手が少なく、価格競争が働きにくい場合もあります。また、ガス会社ごとに経営方針やサービス内容が異なるため、同じ地域でも料金に差が出ることがあります。
結局LPガスとはどんな人におすすめ?

ここまで、LPガスの基本情報から都市ガスとの違い、料金、安全性について詳しく解説してきました。最後に、これまでの情報を踏まえ、LPガスがどのような方に向いているのかをまとめます。
LPガスのメリットとデメリットを再確認
改めて、LPガスの主なメリットとデメリットを整理してみましょう。
- 供給エリアが広い
- 全国ほぼどこでも利用可能で、都市ガスの供給がない地域でも頼りになる。
- 災害時の復旧が比較的早い
- 個別供給のため、被害が局所的で済み、復旧も迅速な傾向がある。
- 火力が強い
- 都市ガス(13A)と比較して単位体積あたりの発熱量が高く、パワフルな火力を必要とする調理などに向いている。
- 初期費用を抑えられる場合がある
- ガス会社によっては、配管工事費などを無償または割安にするプランがある(契約内容の確認は必須)。
- 環境負荷が比較的低い
- 燃焼時のCO2排出量が石油や石炭に比べて少なく、硫黄酸化物(SOx)の排出もほとんどないクリーンなエネルギー。
- 料金が高い傾向がある
- 都市ガスと比較して、配送コストなどがかかるため、月々の料金が高くなることが多い。
- ガス会社を選びにくい場合がある
- 地域によっては競争が少なく、選択肢が限られることがある(ただし、自由化により改善の動きあり)。
- ガスボンベの設置スペースが必要
- 屋外にボンベを置くためのスペースを確保する必要がある。
- ガス機器の互換性
- 都市ガス用の機器は使えず、専用の機器が必要。
LPガスが向いている人・状況とは?
上記のメリット・デメリットを踏まえると、LPガスは以下のような方や状況に適していると言えるでしょう。
- 都市ガス供給エリア外にお住まいの方、またはこれから住む予定の方
- これは最も明確な選択理由です。都市ガスの導管が整備されていない地域では、LPガスが主要なガスエネルギーとなります。
- これは最も明確な選択理由です。都市ガスの導管が整備されていない地域では、LPガスが主要なガスエネルギーとなります。
- 災害時のエネルギー確保を重視する方
- 地震などの災害時におけるライフラインの早期復旧を重視する方にとって、LPガスの「災害に強い」という特性は大きなメリットです。
- 地震などの災害時におけるライフラインの早期復旧を重視する方にとって、LPガスの「災害に強い」という特性は大きなメリットです。
- プロパンガスならではの高火力を求める方
- 中華料理店やレストランなど、強い火力を必要とする調理を行う飲食店では、LPガスの高火力が重宝されます。一般家庭でも、料理にこだわりたい方には魅力となるでしょう。
- 中華料理店やレストランなど、強い火力を必要とする調理を行う飲食店では、LPガスの高火力が重宝されます。一般家庭でも、料理にこだわりたい方には魅力となるでしょう。
ここまで、LPガスと都市ガスの違いについて解説してきました。どちらにもメリット・デメリットがあります。
自分のライフスタイルや重要視することを考えながら、最適な選択をすることが大切です!