「前家賃って何?」「初期費用でよく聞くけど、結局いつ何を払うの?」賃貸物件を探し始めると出てくる「前家賃」という言葉。
この記事では、前家賃の基本的な意味から、支払いタイミング、計算方法、日割り家賃との違い、さらには契約時の注意点まで、不動産用語としての「前家賃」を徹底的に解説します。
「前家賃とは」何か?定義と支払う理由を徹底解説

賃貸物件の契約を進める中で、初期費用の見積もりに記載されている「前家賃」。
言葉は聞いたことがあっても、その正確な意味や支払う理由について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。ここでは、まず「前家賃とは」何か、その基本的な定義と、なぜ支払う必要があるのかを分かりやすく解説します。
「前家賃」の正確な定義とは?
前家賃(まえやちん)とは、文字通り「前もって支払う家賃」のことを指します。具体的には、賃貸借契約を結ぶ際に、入居する月の翌月分の家賃を事前に支払うお金のことです。例えば、4月に入居する場合、契約時に4月分の家賃(多くは日割り計算されます)と一緒に、5月分の家賃を支払う、この5月分の家賃が前家賃にあたります。
物件や不動産会社によって多少の違いはありますが、多くの場合、初期費用の一部として請求される項目です。
なぜ「前家賃」を支払う必要があるの?
では、なぜ翌月分の家賃を前もって支払う必要があるのでしょうか。これには、主に貸主(大家さんや管理会社)側の事情と、結果的に借主側にも繋がる側面があります。
- 大家さん側のリスクヘッジ
- 最も大きな理由は、家賃滞納リスクの軽減です。大家さんにとって、家賃は安定的な収入源であり、滞納が発生すると経済的な損失に繋がります。入居時に少なくとも1ヶ月分の家賃を先に確保しておくことで、万が一入居直後に支払いが滞った場合でも、すぐに未収状態になることを避けられます。また、契約時にまとまった費用を支払えるだけの支払い能力があるかどうかの、一つの判断材料としている側面もあります。
- 最も大きな理由は、家賃滞納リスクの軽減です。大家さんにとって、家賃は安定的な収入源であり、滞納が発生すると経済的な損失に繋がります。入居時に少なくとも1ヶ月分の家賃を先に確保しておくことで、万が一入居直後に支払いが滞った場合でも、すぐに未収状態になることを避けられます。また、契約時にまとまった費用を支払えるだけの支払い能力があるかどうかの、一つの判断材料としている側面もあります。
- 借主側のメリットは?
一見、借主にとっては負担増に感じる前家賃ですが、メリットがないわけではありません。
- 翌月の支払い計画が立てやすい
- 入居月の翌月の家賃を契約時に支払っておくことで、入居後の最初の大きな支払いである家賃の心配が一つ減ります。引越し直後は何かと物入りで慌ただしくなりがちなので、事前に済ませておくことで精神的な安心感が得られます。
- 契約意思の確認
- 貸主側から見れば、前家賃を含む初期費用を支払うことで、借主の契約意思が固いことの確認にもなります。
- 翌月の支払い計画が立てやすい
このように、前家賃は主に貸主側の安定した賃貸経営のための仕組みですが、借主にとっても支払い計画の明確化といった間接的なメリットがあると言えるでしょう。
「前家賃」と「前払家賃」は同じ意味?
不動産会社や契約書によっては、「前家賃」ではなく「前払家賃(まえばらいやちん)」と記載されていることもあります。基本的に、これら2つの言葉は同じ意味で使われており、入居する月の翌月分の家賃を指すと考えて問題ありません。
どちらの表記が使われていても、その内容と金額、支払い時期をしっかり確認することが大切です。
前家賃に含まれる費用は?
前家賃として請求される金額には、純粋な家賃だけでなく、共益費や管理費も含まれるのが一般的です。
- 共益費
- マンションやアパートの共用部分(廊下、階段、エレベーターなど)の維持管理に必要な費用(電気代、清掃費など)
- 管理費
- 物件全体の管理業務(管理人さんの人件費、事務費用など)に必要な費用
これらの費用は、毎月の家賃と一緒に支払うものですので、前家賃の対象となることが多いです。契約前に、前家賃の内訳に何が含まれているのかを不動産会社に確認しておきましょう。見積書や契約書に「賃料等」といった形でまとめられている場合もあります。
「前家賃とは」いつ、いくら払う?支払いタイミングと計算方法を徹底シミュレーション

「前家賃とは何か」が理解できたところで、次に気になるのは「いつ、いくら支払うのか」という具体的なポイントでしょう。
ここでは、前家賃の支払いタイミング、金額の計算方法、そして月の途中で入居する場合の複雑な日割り家賃との関係について、シミュレーションを交えながら詳しく解説します。
前家賃はいつ支払う?
前家賃を含む初期費用は、通常、賃貸借契約が正式に成立するタイミング、または鍵の引き渡し前に支払うのが一般的です。物件探しの流れに沿って見てみましょう。
前家賃の金額はいくらになる?
前家賃の金額は、原則として「家賃1ヶ月分」です。これに加えて、前述の通り「共益費・管理費の1ヶ月分」も含まれることが一般的です。
例えば、
家賃:80,000円
共益費:5,000円 の場合、前家賃として請求されるのは、80,000円 + 5,000円 = 85,000円 となります
ただし、これはあくまで基本であり、物件や契約内容によって異なる場合もあるため、必ず契約前に見積書や契約書で金額を確認しましょう。
月の途中で入居する場合の「日割り家賃」と「前家賃」の関係
入居日が月の初日(1日)でない場合、入居月の家賃は日割りで計算されるのが一般的です。これを「日割り家賃」と言います。そして、この日割り家賃と合わせて、翌月分の「前家賃」を支払うことになります。
- 日割り家賃とは?
日割り家賃は、入居日からその月の末日までの日数分で家賃を計算します。
- 月の日数で割る方法: 家賃 ÷ その月の日数 × 入居日数
- 月の日数で割る方法: 家賃 ÷ その月の日数 × 入居日数
- 契約時に支払う家賃関連費用の内訳
月の途中で入居する場合、契約時に支払う家賃関連費用は、「入居月の日割り家賃」+「翌月分の前家賃*となります。
家賃90,000円、4月15日に入居、その月の日数が30日の場合(月の日数で割る方法)
日割り家賃 = 90,000円 ÷ 30日 × 16日間(4月15日~4月30日) = 48,000円
- 契約時に支払う家賃関連費用の内訳
- 月の途中で入居する場合、契約時に支払う家賃関連費用は、「入居月の日割り家賃」+「翌月分の前家賃*となります。
- 家賃90,000円、共益費5,000円の物件に、4月15日に入居する場合
- 割り家賃: (90,000円 + 5,000円) ÷ 30日 × 16日 = 50,666円 (端数処理は契約による)
- 5月分前家賃: 90,000円 + 5,000円 = 95,000円
- 契約時に支払う家賃関連費用合計: 50,666円 + 95,000円 = 145,666円
このように、入居日によって初期費用に含まれる家賃関連の金額が変動します。
「前家賃を支払ったら、次の家賃支払いはいつ?」
前家賃として翌月分の家賃を支払った場合、当然ながら翌月の家賃支払いは不要です。
例えば、4月15日に入居し、契約時に4月分の日割り家賃と5月分の前家賃を支払ったとします。
- 4月中の家賃支払い:契約時に日割り分を支払い済み
- 5月中の家賃支払い:契約時に前家賃として支払い済み
- 次に家賃を支払うのは:6月分の家賃を、5月末などの指定された期日までに支払うことになります。
賃貸契約書には、毎月の家賃の支払い期日(例:毎月27日までに翌月分を支払う、毎月末日までに翌月分を支払うなど)が記載されています。前家賃を支払った後は、この契約書に定められた支払サイクルに従って、翌々月分の家賃から支払いが発生すると覚えておきましょう。
「前家賃とは」何かを正しく理解し、安心・納得の賃貸契約へ

ここまで、「前家賃とは」何か、その定義から支払い方法、注意点、そして関連する不動産用語に至るまで詳しく解説してきました。
複雑に感じる賃貸契約の初期費用ですが、一つ一つの項目の意味を理解することで、不安は大きく軽減されるはずです。
本記事で解説した「前家賃」の重要ポイント総まとめ
最後に、この記事で解説した「前家賃」に関する重要なポイントを改めておさらいしましょう。
- 前家賃とは
- 入居する月の「翌月分」の家賃(及び共益費・管理費など)を、契約時に前もって支払うお金のこと。
- 支払う理由
- 主に貸主側の家賃滞納リスク軽減のためだが、借主にとっても支払い計画の明確化という側面がある。
- 支払いタイミング
- 通常、賃貸借契約時~鍵の引き渡し前。
- 金額
- 原則として家賃1ヶ月分(+共益費・管理費)。月の途中入居の場合は「日割り家賃」も発生。
不明点は遠慮なく不動産会社に確認!
賃貸契約は、新しい生活の基盤となる大切な手続きです。専門用語が多く戸惑うこともあるかもしれませんが、不動産会社の担当者は、そういった疑問に答えるプロフェッショナルです。
「こんなこと聞いてもいいのかな?」と遠慮せずに、少しでも分からないこと、不安に思うことがあれば、積極的に質問しましょう。すべての内容に納得した上で契約を結び、気持ちよく新生活をスタートさせることが何よりも大切です。