南向きのお部屋には多くの魅力がありますが、全ての人にとってベストとは限りません。
この記事では、賃貸物件の日当たりを考える上で重要な「南向き」の部屋が持つ具体的なメリットと、意外と見落としがちなデメリットを徹底解説します!
「南向き=日当たり良好」とされる理由と賃貸での重要性

賃貸物件を探す際、多くの方が気にする「日当たり」。
中でも「南向き」は特に人気が高く、日当たり良好の代名詞のように語られます。
しかし、なぜそこまで南向きは支持されるのでしょうか?
その理由と、賃貸物件における日当たりの重要性を掘り下げていきましょう。
そもそも南向きとは?
ご存知の通り、太陽は東から昇り、西へと沈みます。この太陽の動きに対して、主な窓やバルコニーが南側を向いている部屋が「南向き」と呼ばれます。
南向きの部屋の最大の特徴は、日中の多くの時間帯で太陽光を取り込みやすいことです。午前中から午後にかけて、安定して日差しが部屋に差し込むため、一日を通して明るさを保ちやすいのが魅力です。
また、季節によって太陽の高さが変わる点もポイントです。
- 冬
- 太陽の軌道が低くなるため、日差しが部屋の奥深くまで届きやすく、暖かさを感じやすくなります。
- 夏
- 太陽の軌道が高くなるため、日差しは比較的窓際に集中し、真上からのような形になります。そのため、庇(ひさし)やバルコニーの奥行きがあれば、ある程度日差しを遮ることも可能です。
賃貸物件選びで「日当たり」が重視される納得の理由
では、なぜ賃貸物件を選ぶ際に、これほどまでに日当たり、特に南向きが重視されるのでしょうか。
それには、私たちの生活の質(QOL=Quality of Life)に直結する、いくつかの理由があります。
- 生活の質の向上
- 明るい部屋は気分を前向きにし、活動的な気持ちにさせてくれます。自然光が溢れる空間での生活は、閉塞感が少なく、心地よいものです。家で過ごす時間が多い方にとっては特に重要なポイントとなるでしょう。
- 健康面への良い影響
- 太陽光を浴びることは、私たちの体内でビタミンDを生成するのに役立ちます(窓ガラスの種類によっては効果が減少することもあります)。また、朝の光を浴びることで体内時計がリセットされ、規則正しい生活リズムを維持しやすくなるとも言われています。
- 精神面でのメリット
- 日光浴には、精神を安定させる効果のあるセロトニンの分泌を促す働きがあると言われています。気分が落ち込みがちな時でも、明るい日差しが差し込む部屋で過ごすことは、心を穏やかにする助けになるかもしれません。
もちろん、日当たりの感じ方には個人差がありますが、これらのメリットを考えると、多くの方が南向きを希望するのにも頷けます。
知っておきたい6つのメリット

南向きの賃貸物件が人気なのには、やはりそれだけの理由があります。
ここでは、南向きだからこそ得られる具体的なメリットを6つに絞って詳しくご紹介します。
①圧倒的な日照時間!
南向きの最大のメリットは、何と言っても日照時間の長さです。特に太陽の位置が低くなる冬場は、部屋の奥まで暖かな日差しがたっぷりと届きます。日中であれば、照明をつけなくても過ごせるほどの明るさが確保できるため、リビングで家族と過ごす時間や、趣味の時間をより快適なものにしてくれるでしょう。
この自然の暖かさは、暖房費の節約にも繋がる可能性があります。晴れた日の日中には、窓から差し込む太陽熱だけで室温が上がり、暖房器具の使用頻度を減らせるケースも少なくありません。実際に、「南向きの部屋に住んでから、冬の暖房費が以前より安くなった」という声もよく聞かれます。エネルギー価格が高騰している昨今、これは非常に嬉しいポイントと言えるでしょう。
②家事ストレス軽減と衛生的メリット
「洗濯物がなかなか乾かない…」というのは、日々の家事の中でも大きなストレスの一つです。南向きのバルコニーや窓辺は、日当たりが良いため洗濯物が非常によく乾きます。特に晴れた日には、午前中に干した洗濯物が午後にはカラッと乾いていることも珍しくありません。
太陽光には殺菌効果も期待できるため、外干しすることで衣類を衛生的に保つことができます。生乾きの嫌な臭いに悩まされることも少なくなるでしょう。
また、梅雨時期や花粉の季節などで室内干しをする場合でも、南向きの部屋であれば窓際の日差しを利用して乾きを早めることができます。除湿器やサーキュレーターを併用すれば、さらに効率的に乾燥させることが可能です。日当たりの良さは、日々の洗濯を格段に楽にしてくれる強い味方なのです。
③グリーンインテリアを楽しみたい人に最適
観葉植物やハーブ、お花などを育てるのが好きな方にとって、南向きの部屋はまさに理想的な環境です。多くの植物は日光を好むため、日当たりの良い南向きの窓辺は、植物を元気に育てるための絶好のスペースとなります。
日差しをたっぷり浴びて生き生きと育つグリーンは、お部屋に彩りと癒やしを与えてくれます。窓辺にハンギングプランターを吊るしたり、お気に入りの鉢植えを並べたりと、グリーンインテリアを存分に楽しむことができるでしょう。植物の成長を日々感じられるのは、大きな喜びの一つです。ただし、植物の種類によっては直射日光が強すぎる場合もあるため、レースカーテン越しに置くなど、種類に応じた工夫は必要です。
④電気代節約と自然光の心地よさ
メリット①でも触れましたが、南向きの部屋は日中に十分な明るさが確保できるため、照明をつける必要がない時間帯が多くなります。これは、日中ご自宅で過ごす時間が長い方にとっては、電気代の節約に繋がる嬉しいポイントです。
それ以上に魅力的なのが、自然光ならではの心地よさです。人工的な照明とは異なり、太陽の光は時間と共に色味や明るさが変化し、空間に奥行きと温かみを与えてくれます。読書をしたり、趣味に没頭したりする際も、自然光の下では目が疲れにくいと感じる方も多いでしょう。明るく開放的な空間は、心にもゆとりをもたらしてくれます。
⑤健康的な生活リズムをサポート!
私たちの体には、約24時間周期の体内時計が備わっています。この体内時計を正常に機能させる上で重要な役割を果たすのが太陽光です。特に朝の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、夜の自然な眠りに繋がりやすくなると言われています。
南向きの部屋は、東向きほどではありませんが、午前中からしっかりと日差しが入るため、規則正しい生活リズムを築く手助けとなります。日中に太陽光を浴びることは、気分の安定に関わる神経伝達物質「セロトニン」の分泌を促すとも言われており、精神的な健康維持にも良い影響が期待できます。健康的なライフスタイルを送りたいと考える方にとって、日当たりの良い南向きの部屋は魅力的な選択肢となるでしょう。
⑥カビや結露が発生しにくい
湿気がこもりやすい日本の住宅において、カビや結露は悩みの種です。南向きの部屋は、日差しによって室内が暖められやすく、また空気が乾燥しやすくなるため、カビの発生原因となる湿気を抑制する効果が期待できます。
窓辺や壁の結露も、日差しによって乾きやすいため、比較的発生しにくいと言えるでしょう。もちろん、建物の構造や断熱性、換気状況によって効果は異なりますし、梅雨時など湿度が高い時期には適切な換気や除湿対策が別途必要です。しかし、他の日当たりの悪い方角の部屋と比較すると、湿気に関する悩みが軽減される可能性は高いです。
あなたに最適な賃貸の日当たりは?

ここまで南向き物件のメリット・デメリット、そして内見時のチェックポイントについて詳しく見てきました。では、これらの情報を踏まえて、「あなたにとって」南向きの部屋は本当にベストな選択なのでしょうか?
日当たりの好みや重要度は、個々のライフスタイルによって大きく異なります。「みんなが良いと言うから」ではなく、ご自身の生活スタイルと照らし合わせて、最適な方角を見つけることが後悔しない部屋選びの秘訣です。
南向きが特におすすめなのはこんな人!
以下のようなライフスタイルの方には、南向きのメリットが特に大きく感じられるでしょう。
- 日中、家で過ごす時間が長い方
- 日中の大半を家で過ごす方にとって、自然光がたっぷり入る明るく暖かい南向きの部屋は、心身ともに快適な空間となります。日中の照明コストを抑えられるメリットも大きいです。在宅ワークの場合、明るい環境は作業効率アップにも繋がるかもしれません。
- 日中の大半を家で過ごす方にとって、自然光がたっぷり入る明るく暖かい南向きの部屋は、心身ともに快適な空間となります。日中の照明コストを抑えられるメリットも大きいです。在宅ワークの場合、明るい環境は作業効率アップにも繋がるかもしれません。
- 寒がりで、冬の暖かさを重視する方
- 冬の低い太陽光が部屋の奥まで差し込み、天然の暖房効果が期待できる南向きは、寒がりの方にとって大きな魅力です。暖房器具の使用を抑えられれば、光熱費の節約にもなります。
- 冬の低い太陽光が部屋の奥まで差し込み、天然の暖房効果が期待できる南向きは、寒がりの方にとって大きな魅力です。暖房器具の使用を抑えられれば、光熱費の節約にもなります。
- 洗濯物をよく外干しする、または室内干しでも早く乾かしたい方
- 日照時間が長く、日差しが強いため、洗濯物が乾きやすいのは南向きの大きなメリット。特にバルコニーで洗濯物を干す習慣のある方や、室内干しでも太陽光を利用したい方には最適です。
- 日照時間が長く、日差しが強いため、洗濯物が乾きやすいのは南向きの大きなメリット。特にバルコニーで洗濯物を干す習慣のある方や、室内干しでも太陽光を利用したい方には最適です。
- ペットや観葉植物を大切に育てたい方
- 多くの植物や一部のペットにとって、十分な日照は健康維持に不可欠です。南向きの部屋は、これらを育てるのに適した環境を提供しやすいと言えます。
- 多くの植物や一部のペットにとって、十分な日照は健康維持に不可欠です。南向きの部屋は、これらを育てるのに適した環境を提供しやすいと言えます。
こんな人には他の方角もおすすめ!
一方で、以下のようなライフスタイルの方にとっては、必ずしも南向きにこだわる必要はなく、むしろ他の方角の部屋が合っている場合もあります。
- 日中は仕事や学校でほとんど家にいない方
- 平日の日中は家を空けていることが多い方にとっては、南向きの恩恵である「日中の日当たりの良さ」を十分に享受できないかもしれません。家賃が高めになりがちな南向きを選ぶよりも、他の条件を優先した方が満足度が高い可能性があります。
- 平日の日中は家を空けていることが多い方にとっては、南向きの恩恵である「日中の日当たりの良さ」を十分に享受できないかもしれません。家賃が高めになりがちな南向きを選ぶよりも、他の条件を優先した方が満足度が高い可能性があります。
- 暑がりで、夏の涼しさを優先したい方
- 南向きのデメリットである「夏の暑さ」を避けたい暑がりの方にとっては、むしろ北向きや東向きの部屋の方が快適に過ごせる場合があります。特に北向きは一年を通して安定した明るさがあり、夏場は涼しく過ごしやすいというメリットがあります。
- 南向きのデメリットである「夏の暑さ」を避けたい暑がりの方にとっては、むしろ北向きや東向きの部屋の方が快適に過ごせる場合があります。特に北向きは一年を通して安定した明るさがあり、夏場は涼しく過ごしやすいというメリットがあります。
- 家賃をできるだけ抑えたい方
- 前述の通り、南向きは人気があるため家賃が高めに設定される傾向があります。日当たり以外の条件(広さ、駅からの距離、設備など)を優先し、家賃を抑えたい場合は、南向き以外の選択肢も積極的に検討してみましょう。
- 前述の通り、南向きは人気があるため家賃が高めに設定される傾向があります。日当たり以外の条件(広さ、駅からの距離、設備など)を優先し、家賃を抑えたい場合は、南向き以外の選択肢も積極的に検討してみましょう。
- 夜型の生活を送っている方、または家具や書籍の日焼けを極力避けたい方
- 朝ゆっくりと過ごしたい夜型の方にとっては、朝日が強く差し込む東向きよりも、穏やかな光の北向きや、午後から日差しが入る西向きの方が生活リズムに合うかもしれません。また、大切なコレクションや蔵書を日焼けから守りたいという明確な目的がある場合は、直射日光が入りにくい北向きなども検討の余地があります。
- 朝ゆっくりと過ごしたい夜型の方にとっては、朝日が強く差し込む東向きよりも、穏やかな光の北向きや、午後から日差しが入る西向きの方が生活リズムに合うかもしれません。また、大切なコレクションや蔵書を日焼けから守りたいという明確な目的がある場合は、直射日光が入りにくい北向きなども検討の余地があります。
関連記事:賃貸の日当たり、方角別メリットとデメリット!後悔しない部屋選びの完全ガイド
自分の優先順位と照らし合わせて「ベストな日当たり」を見つける思考法
ここまで様々な情報をお伝えしてきましたが、最終的にどの部屋を選ぶべきかは、あなた自身の価値観と優先順位によって決まります。
以下のステップで、自分にとっての「ベストな日当たり」を考えてみましょう。
- 自分のライフスタイルを再確認する
- 平日の日中、家にいる時間はどれくらいか?
- 休日は家でどのように過ごすことが多いか?
- 洗濯はいつ、どのように行うことが多いか?
- 暑がりか、寒がりか?
- 家で植物を育てたいか?
- 日当たりに求めるものを明確にする
- 「とにかく明るい部屋が良い」「冬暖かいのが最優先」「夏涼しい方が良い」「洗濯物がよく乾くこと」など、具体的に書き出してみましょう。
- 譲れない条件と妥協できる条件を整理する
- 日当たり以外にも、家賃、広さ、駅からの距離、周辺環境など、物件選びには様々な条件があります。日当たりと他の条件を比較し、何を優先し、何なら妥協できるのかを明確にします。
- 各方角のメリット・デメリットと自分の希望を照らし合わせる
- 例えば、「日中家にいる時間が長く、冬の暖かさを重視するけれど、家賃は抑えたい」という場合、南向きにこだわりつつも、少し築年数が古い物件や駅から少し離れた物件も視野に入れる、といった判断ができます。
賃貸の日当たりは「南向きが絶対」ではない!

今回は、賃貸物件における「南向き」の日当たりについて、その人気の理由から具体的なメリット・デメリット、内見時のチェックポイント、そしてライフスタイル別の向き不向きまで、詳しく解説してきました。
確かに、南向きの部屋は日照時間が長く、冬は暖かく明るいなど、多くの魅力的なメリットがあります。しかし、夏の暑さや家賃の高さといったデメリットも存在し、全ての人にとって「南向きが絶対的なベスト」とは限りません。
最も重要なのは、ご自身のライフスタイルや価値観を理解し、何を優先したいのかを明確にすることです。「南向きだから良いはず」という固定観念にとらわれず、今回ご紹介した情報を参考に、東向き、西向き、北向きといった他の方角の特性も比較検討しながら、多角的な視点から物件を吟味することが、後悔しない賃貸選びの鍵となります。
この記事が、あなたが理想の住まいを見つけるための一助となれば幸いです!