引っ越し初日、新生活への期待が膨らむ一方で、「何から手をつければいいの?」と不安でいっぱいではありませんか。実は、当日の段取り一つで、後々の快適さや「やっておけば…」という後悔に繋がることがあります。
この記事では、引っ越し当日にやるべきことを、3ステップで解説します。ライフラインの開通から、荷解きより先にすべき掃除、賃貸トラブルを防ぐ部屋のチェック方法までご紹介!
引っ越し初日にやることリスト

引っ越し当日は、まさに時間との戦い。しかし、焦って手当たり次第に作業を始めると、非効率なだけでなく、後々「先にやっておけばよかった…」と後悔することにもなりかねません。
ここでは、当日の流れに沿って「やるべきこと」を理想的な順番でご紹介します。なぜその作業が重要なのか、やらなかった場合にどんな不便があるのかも併せて解説するので、一つひとつ着実にこなしていきましょう。
ステップ1:荷物搬入前が勝負!新居に着いてまずやること
荷物が運び込まれる前の「何もない状態」は、ほんのわずかな時間しかありません。この貴重な時間でやるべきことは、後々の快適さを大きく左右する重要な作業ばかりです。
軽く掃除をする
新居はプロのクリーニング済みであることがほとんどですが、クリーニング後時間が経っていればほこりがある可能性も。特に、これから荷物を置く収納(クローゼットや押し入れ、シンク下など)の内部や水回りは、このタイミングで拭き掃除をしておくと後が楽になります。家具や家電を置いてしまうと掃除が難しくなるため、何もないまっさらな状態で済ませてしまうことが、後悔しないためのコツです。
電気のブレーカーを上げる
まずは部屋の照明や、掃除機を使うために電気を確保します。分電盤(通常、玄関や洗面所の上部にあります)のフタを開け、アンペアブレーカーと配線用遮断器のつまみをすべて「入」または「ON」にしましょう。電気がつかない場合は、電力会社への開始連絡が済んでいるか確認してください。
水道の元栓を開ける・通水確認
次に、掃除やトイレで水を使えるようにします。水道の元栓は、玄関横のパイプスペース内にあることがほとんどです。キッチンや洗面台の蛇口から水が出るか確認しましょう。
最初の水は、配管内の錆や汚れが混じっている可能性があります。少しの間、水を流しっぱなしにしてから使い始めると安心です。
【重要】部屋全体の傷や汚れのチェック・写真撮影
これは引っ越し初日の全タスクの中でも、とても重要です。 退去時の敷金トラブルを防ぐため、入居時の部屋の状態を「証拠」として記録に残します。詳細は次の章で徹底解説しますが、荷物で隠れてしまう前に、部屋の隅々までチェックし、写真を撮っておきましょう。
荷物を入れる前の簡単掃除(水回り・収納内部)
家具や荷物を置いてしまうと、掃除が格段に難しくなります。特に、シンク下の収納やクローゼットの内部、押し入れなどは、一度荷物を入れると退去時まで掃除しないことも。アルコール除菌スプレーで拭き上げるなど、簡単な掃除で構いませんので、このタイミングで済ませておきましょう。
害虫対策のポイントと注意点
前の住人から時間が経っていたり、空室期間が長かったりする物件では、害虫対策をしておくと安心して新生活を始められます。害虫対策を行う場合は、荷物搬入前がおすすめです。
火災報知器が反応してしまう可能性があるため、付属のカバーをかけるか、ビニール袋とテープで覆ってください。使用後は十分な換気が必要です。管理会社によっては使用が禁止されている場合もあるため、事前に確認しておくとより安心です。
ステップ2:業者さんと一緒に!荷物搬入中にやること
いよいよ引っ越し業者さんが到着し、荷物が運び込まれ始めます。忙しくなりますが、受け身にならず、ポイントを押さえてテキパキと対応しましょう。
家具・家電の配置指示のコツ
事前に決めておいた家具の配置図を手元に置き、業者さんに的確に指示を出します。特に、洗濯機や冷蔵庫などの大型家電は、一度設置すると後から動かすのは大変です。「とりあえずここで」は避け、正確な位置を伝えましょう。ダンボールも「キッチン」「寝室」など、部屋ごとにまとめて置いてもらうと、後の荷解きが格段に楽になります。
搬入時に傷がついていないか最終確認
万が一、搬入作業中に壁や床、家財に傷がついてしまった場合、その場で業者さんと一緒に確認することが重要です。時間が経ってしまうと、引っ越し作業によるものか証明が難しくなります。作業が完了したら、室内をざっと見渡し、問題がないか確認しましょう。
引っ越し代金の精算
すべての作業が完了したら、引っ越し代金を精算します。現金払いの場合が多いので、事前に金額を確認し、お釣りが出ないように準備しておくとスムーズです。領収書も忘れずに受け取りましょう。
ステップ3:荷物搬入後にすぐやること
業者さんが帰った後、山積みのダンボールを前に途方に暮れてしまうかもしれません。しかし、ここでも優先順位が大切です。まずはその日の夜を安心して過ごすための準備を始めましょう。
ガス開栓の立ち会い
多くの場合、ガスの開栓にはガス会社スタッフの立ち会いが必要です。事前に予約した時間になったら、在宅しているようにしましょう。これを逃すと、その日お風呂に入れず、お湯も使えないという事態に…。所要時間は15〜30分程度です。
インターネットの接続確認
在宅勤務や趣味で必要な方は、インターネットの接続も早めに済ませておきましょう。自分で機器を設置・設定するだけの場合もあれば、開通工事に立ち会いが必要な場合もあります。Wi-Fiルーターの設定を済ませ、スマートフォンやPCが問題なく接続できるか確認します。
引っ越し初日にやるべき原状回復トラブル回避術
入居時のチェックと写真撮影。なぜこれがそこまで大切なのでしょうか。
それは、賃貸物件の退去時に多いトラブルの一つである「原状回復費用」から、あなたの敷金とあなた自身を守るための自衛策だからです。
なぜ写真撮影が必要なのか?
原状回復義務と経年劣化の違いを解説
賃貸物件の入居者には「原状回復義務」があります。これは、「わざと、または不注意でつけてしまった傷や汚れを元に戻す義務」のことです。一方で、普通に生活していて自然に発生する汚れや日焼け(経年劣化)は、大家さんの負担で修繕するのが原則です。
問題は、退去時に見つかった傷が「あなたが入居する前からあったもの」なのか、「あなたが入居中につけたもの」なのか、客観的に判断するのが難しい点です。このとき、強力な証拠となるのが「入居日の日付が入った写真」なのです。
写真が「入居時からの傷」であることの客観的な証拠になる理由
「この傷は前からありました」と口で主張しても、証拠がなければ水掛け論になってしまいます。しかし、入居日に撮影した写真があれば、「自分が入居した時点で、すでにこの傷は存在していました」という事実を客観的に証明できます。これにより、本来入居前からあった傷や汚れの修繕費用を請求されるリスクを軽減することができます。
傷や汚れの「アップ」と「引き」の2枚セットで撮る
- アップの写真: 傷や汚れの状態がはっきりとわかるように、接写します。
- 引きの写真: それが部屋のどの場所にある傷なのかがわかるように、少し引いて部屋全体と一緒に撮影します。
この2枚をセットにすることで、「いつ、どこに、どんな状態の傷があったか」が一目瞭然となります。
引っ越し初日にやるべきライフライン・ネットの手続き

電気、水道、ガス、インターネットは、現代生活に欠かせないインフラです。事前に連絡を済ませている方がほとんどだと思いますが、当日「使えない!」ということがないように、最終確認を行いましょう。
電気・水道の開始連絡(当日でもOKな場合も)
スマートメーターの場合の開始方法
最近の物件では、電気メーターが「スマートメーター」になっていることが多いです。この場合、事前に電力会社へ連絡しておけば、遠隔操作で電気の供給を開始してくれるため、入居者がブレーカーを上げるだけで電気が使えます。
水道の元栓の場所
水道も、事前に連絡しておけば、入居日には使えるようになっています。もし水が出ない場合は、元栓が閉まっている可能性が高いです。アパートやマンションでは、玄関ドアの横にあるパイプスペース(鉄製の扉の中)に、ガスメーターなどと一緒に設置されていることがほとんどです。
【立ち会い必須】ガスの開栓手続きの流れ
事前予約の重要性
電気や水道と違い、ガスは安全確認のため、ガス会社のスタッフによる開栓作業と立ち会いが必要です。引っ越しシーズンは予約が混み合うため、1〜2週間前には予約を済ませておきましょう。予約なしでは、当日ガスを使うことはできません。
当日の所要時間と準備するもの
作業時間は15〜30分程度です。ガスコンロや給湯器などのガス機器が正常に使えるかを確認します。認印や身分証明書が必要な場合もあるので、事前にガス会社からの案内に目を通しておきましょう。
インターネットの開通工事や接続設定
工事が必要な場合と不要な場合
前の住人が利用していた回線設備が残っている「光コンセント」がある物件では、工事不要で、送られてきた機器(ONUやルーター)を自分で接続するだけで利用できる場合があります。設備がない場合は、開通工事が必要となり、ここでも立ち会いが求められます。
Wi-Fiルーターの設定
無事に回線が開通したら、Wi-Fiルーターを接続し、スマートフォンやPCでパスワードを入力して設定を完了させます。接続できない場合は、プロバイダーのサポートセンターに問い合わせましょう。
まとめ

引っ越し初日は、やることが多くて心身ともに疲労困憊になるものです。最後に、今日一日で「やるべきこと」を改めて振り返ってみましょう。
- 荷物搬入前の部屋のチェックと写真撮影
- 電気・水道・ガスのライフライン確保
- 最低限の生活用品の荷解き
中でも重要なのは、将来の自分を助けることになる「原状回復のための記録」と、その日の生活に不可欠な「ライフラインの確保」です。これさえできていれば、今日のミッションはほぼクリアと言っても過言ではありません。
すべての荷解きや片付けを、初日に終わらせる必要は全くありません。完璧を目指さず、まずは温かいお風呂に入って、ゆっくりと体を休めてください。
この記事が、あなたの不安を少しでも軽くし、素晴らしい新生活の第一歩をサポートできれば、これほど嬉しいことはありません。これから始まる新しい毎日が、素敵なものでありますように。