墨田区の住みやすさを解説！治安や周辺環境は？

墨田区の住みやすさを徹底解説！

東京スカイツリーや下町のイメージが強い墨田区ですが、「住む場所」として考えた時、「錦糸町は治安が悪いって本当？」「初めての一人暮らしでエリアの土地勘がない…」といった不安を感じる方は多いはずです。

この記事では、東京でのお部屋探しに不慣れな10代後半〜20代のあなたに向けて、墨田区の「住みやすさ」を徹底解剖します。警視庁のデータに基づく治安の実態から、家賃相場、都心への交通アクセス、そして知っておきたい水害リスクまで、お部屋探しに必要な情報を網羅的に解説します！

墨田区の「住みやすさ」の総評と基本情報

まず結論から。墨田区は都心へのアクセスと再開発の利便性、そして下町情緒が共存する、バランスに優れたエリアです。

「治安が悪い」「下町で不便」といったイメージは過去のものとなりつつあり、特に単身者や共働き世帯にとっては、23区内でも都心への近さや利便性から、住みやすい街の一つと言えるでしょう

墨田区ってどんな街？

墨田区は、東京23区の東側に位置し、西は隅田川、東は荒川と旧中川に挟まれたエリアです。面積は23区中18位とコンパクトながら、約27万人が暮らしています。

この街の大きな特徴は、二面性です。

「下町情緒」のエリア
- 両国や向島、京島エリアに代表される、古き良き東京の風情が残る地域。相撲部屋や昔ながらの商店街が点在し、人情味あふれるコミュニティが魅力です。
「再開発エリア」
- 東京スカイツリーの開業に伴い、押上・業平エリアは大きく変貌しました。「東京ソラマチ」という巨大商業施設が誕生し、観光地としてだけでなく、生活の場としても格段に便利になっています。また、区の南端に位置する錦糸町は、JR総武線と半蔵門線が乗り入れる一大ターミナルとして発展しています。

この新旧が混ざり合い、独特の活気を生み出しているのが現代の墨田区です。

墨田区の住みやすさ

お部屋探しで重視されるポイントごとに、墨田区の住みやすさをまとめました。

メリット

都心主要駅へのアクセスが便利
- 錦糸町駅や押上駅を中心に、JR・地下鉄・私鉄合わせて9路線が利用可能。東京駅や大手町、渋谷、新宿まで乗り換えなし、または1回でアクセスできます。
買い物環境の充実
- 「アルカキット錦糸町」や「東京ソラマチ」といった大型商業施設から、「キラキラ橘商店街」のような人情味あふれる商店街、日常使いのスーパーまで揃っており、買い物に困ることはありません。
比較的抑えられた家賃相場
- 23区東側に位置するため、山手線の内側や城南エリア（目黒区・世田谷区など）と比較すると、家賃相場は手頃です。利便性とのバランスを考えると、比較的コストパフォーマンスは高いと言えます。

参考資料：LIFULL HOMES-2025年11月6日現在の東京23区の家賃相場

※これはあくまで目安であり、実際の物件情報とは異なります

デメリット

エリアによる治安の差
- 繁華街の「錦糸町駅南口」周辺は、風俗店や飲食店が集中しており、治安の面で注意が必要です。
観光客の多さ
- スカイツリー周辺や両国エリアは、土日祝日を中心に多くの観光客で賑わいます。静かな環境を最優先する人には不向きな場合もあります。
水害リスク
- 隅田川と荒川に挟まれている地形上、大雨や台風の際には水害のリスクが伴います。引っ越す際は、ハザードマップで浸水想定区域を確認することが不可欠です。

【賃貸契約時の注意点：東京ルール】

墨田区を含む東京都内で賃貸契約をする際は、「賃貸住宅紛争防止条例（東京ルール）」に基づき、入居者と事業者の間で、敷金の精算や退去時の原状回復の範囲について、契約前に書面で必ず説明を受けることになっています。契約書の内容だけでなく、この説明事項もしっかり確認するようにしましょう。

墨田区はこんな人におすすめ！

これらの特徴から、墨田区は以下のような方に特におすすめの街です。

都心への通勤時間を短縮したい単身者
交通の便を最優先し、アクティブに暮らしたい人にとって、錦糸町や押上は理想的な選択肢です。
利便性と下町の雰囲気を両立したい人
大型商業施設の便利さも、昔ながらの商店街での買い物も両方楽しみたい、という欲張りなニーズに応えてくれます。

墨田区の治安は本当に悪いの？イメージとデータに基づく実態

お部屋探しで気になるのが「治安」です。特に墨田区は「錦糸町＝治安が悪い」というイメージを持つ方も多いかもしれません。ここではデータに基づき、墨田区の治安の実態を深掘りします。

墨田区の犯罪発生件数と23区内での比較

警視庁が発表する「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」の最新データ（令和6年）によると、墨田区の犯罪発生件数（認知件数）は2,089件でした。

これを23区全体で見ると、どうでしょうか。

令和6年東京23区犯罪発生件数ランキング

順位	区名	犯罪件数
1位	新宿区	6,025件
2位	世田谷区	4,443件
3位	足立区	4,442件
…
19位	墨田区	2,089件
…
23位	文京区	1,194件

このように、墨田区の犯罪件数は23区中19位と、決して多くはありません。人口比で見ても、新宿区や渋谷区、豊島区といった繁華街を抱える区に比べると低い水準です。

「墨田区＝治安が悪い」というイメージは、データ上では必ずしも正しくないことが分かります。ただし、この数値は区全体の平均です。重要なのは「どこで犯罪が起きているか」です。

参考資料：警視庁-令和6年区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数

墨田区の防犯・安全対策への取り組み

治安のイメージ改善と実態の向上は、墨田区の重要課題です。区も様々な取り組みを行っています。

防犯カメラの設置
駅周辺や通学路、公園などに防犯カメラの設置を推進しています。
青色防犯パトロール
「すみだ青パト隊」として、区内全域で青色回転灯を装備した車両によるパトロールが実施されており、犯罪抑止に貢献しています。
客引き行為の禁止
錦糸町駅周辺を「客引き行為等禁止地区」に指定し、警察と連携して指導や取り締まりを強化しています。

墨田区の住みやすさを支える「交通アクセス」と「家賃相場」

生活の利便性を左右する「交通アクセス」と、現実的な問題である「家賃」。墨田区はこの2つのバランスが非常に優れています。

墨田区で利用できる路線は？

墨田区は、JR、東京メトロ、都営地下鉄、私鉄（東武・京成）の計8路線が利用できる、都内でも有数の「交通の要所」です。

JR東日本
- 総武線（快速・各駅停車）: (両国駅、錦糸町駅)
  → 千葉方面、秋葉原、新宿、三鷹方面へ。快速なら東京駅まで直通。
東京メトロ
- 半蔵門線: (錦糸町駅、押上(スカイツリー前)駅)
  → 大手町、渋谷へ直通。東急田園都市線へ乗り入れ。
都営地下鉄
- 浅草線: (本所吾妻橋駅、押上(スカイツリー前)駅)
  → 日本橋、新橋へ直通。羽田・成田空港へもアクセス可能。
- 新宿線: (菊川駅)
  → 新宿、神保町へ直通。
- 大江戸線: (両国駅)
  → 飯田橋、新宿（都庁前）、六本木方面へ。
東武鉄道
- スカイツリーライン（伊勢崎線）: (とうきょうスカイツリー駅、曳舟駅、東向島駅など)
  → 浅草、北千住、埼玉方面へ。
- 亀戸線: (曳舟駅、小村井駅など)
  → 亀戸駅へ。
京成電鉄
- 押上線: (押上(スカイツリー前)駅)
  → 都営浅草線・東武線と接続。

これだけ多くの路線が区内に張り巡らされているため、都心のあらゆる主要駅へ30分前後でアクセスが可能です。

主要駅へのアクセス時間（錦糸町駅・押上駅・両国駅を例に）

区内の主要駅からのアクセス所要時間の目安を見てみましょう。

出発駅	東京駅	新宿駅	渋谷駅	品川駅	大手町駅
錦糸町駅	約8分	約22分	約30分	約17分	約13分
押上駅	約17分	約33分	約33分	約25分	約15分
両国駅	約12分	約18分	約35分	約22分	約14分

（※所要時間は目安です。乗り換え時間含まず）

錦糸町駅は、総武線快速で東京・品川へ、半蔵門線で渋谷・大手町へ直通できる利便性が光ります。

押上駅は、半蔵門線・浅草線の直通利便性が高く、特に羽田空港・成田空港へ乗り換えなしで行ける「エアポート快特」が停車するのが大きな強みです。

両国駅（JR）は新宿方面へ、両国駅（都営大江戸線）は六本木や麻布十番方面へアクセスしやすく、行き先によって使い分けが可能です。

墨田区の家賃相場は高い？安い？

これだけの交通利便性を持ちながら、墨田区の家賃相場は23区内では比較的「手頃」な部類に入ります。

墨田区の家賃相場（目安）

間取り	墨田区	江東区	台東区	江戸川区
1K	約10.7万円	約11.3万円	約11.6万円	約7.9万円
1LDK	約17.7万円	約18.2万円	約18.5万円	約16.3万円
2LDK	約23.2万円	約25.2万円	約24.6万円	約21.3万円

参考資料：LIFULL HOMES-2025年11月6日現在の東京23区の家賃相場

※これはあくまで目安であり、実際の物件情報とは異なります

近隣区との比較

江東区・台東区（より都心側）: これらの区と比較すると、墨田区は同等かやや割安な傾向にあります。特に台東区（上野・浅草）よりは明らかに安く設定されています。
江戸川区（より千葉側）: 江戸川区と比較すると墨田区の方が高くなりますが、その分、都心へのアクセス時間で大きなアドバンテージがあります。

まさに「利便性」と「家賃」のバランスが取れたエリアと言えるでしょう。

家賃を抑えたい場合の狙い目エリア

「墨田区に住みたいけれど、錦糸町や押上は家賃が高い…」という場合は、以下のエリアが狙い目です。

東向島駅、八広駅（東武スカイツリーライン、京成押上線）
区の北部に位置し、昔ながらの下町の雰囲気が色濃く残るエリア。都心までは少し時間がかかりますが、その分家賃は区内でも安い水準です。
菊川駅（都営新宿線）
錦糸町や両国にも自転車で行ける距離にありながら、比較的落ち着いた住宅街。新宿方面へのアクセスが良く、家賃も抑えめです。
小村井駅（東武亀戸線）
曳舟駅や亀戸駅へのアクセスに使うローカル線ですが、閑静な住宅街が広がり、家賃相場も低めです。

日々の生活の質を上げる！墨田区の「買い物」と「自然」環境

交通アクセスの次は、日々の生活に欠かせない「周辺環境」です。墨田区は、買い物も遊びも自然も、バランス良く揃っています。

買い物環境：大型商業施設から昔ながらの商店街まで

墨田区の買い物環境は非常に充実しています。

大型施設（休日や特別な買い物に）

東京ソラマチ（押上駅直結）
言わずと知れたスカイツリーの足元にある巨大商業施設。ファッション、雑貨、グルメ、スーパー（北野エース）まで約300店舗が集結。ここで揃わないものはありません。
錦糸町テルミナ（錦糸町駅直結）
駅ビル。食料品フロアが充実しており、仕事帰りのデパ地下グルメに便利。「無印良品」や「ユニクロ」も入っています。
丸井錦糸町店（錦糸町駅南口）
ファッションビルのイメージが強いですが、地下の食品フロアや「ニトリ」、大型書店が入っており便利です。

日常のスーパー（日々の生活を支える）

墨田区は日常使いのスーパーも非常に充実しています。

ライフ
- アルカキット内のほか、菊川駅前、曳舟駅前など区内各所に点在。
イトーヨーカドー
- 曳舟駅前に大型店があり、周辺住民の生活を支えています。
まいばすけっと
- 単身者やDINKSの強い味方。錦糸町周辺や住宅街にドミナント出店しており、深夜まで営業している店舗も多く便利です。
その他
- 「オーケー」（本所吾妻橋、両国）、「サミット」（両国）、「東武ストア」（東向島）など、各エリアに主要なスーパーが揃っています。

商店街（下町ならではの魅力）

大型店だけでなく、元気な商店街が残っているのも墨田区の魅力です。

キラキラ橘商店街（京島）
「下町人情」を体現するような、昔ながらの商店街。約80店舗が軒を連ね、安くて美味しい惣菜屋や個人商店が人気です。食べ歩きも楽しめます。
下町人情キラキラ通り商店街（東向島）
こちらも活気のある商店街。地域密着型のお店が多く、温かい交流が残っています。

飲食店・グルメの充実度

錦糸町・両国周辺
錦糸町はラーメン激戦区としても有名。また、南口の繁華街にはチェーン店からエスニック料理、B級グルメまであらゆるジャンルの飲食店が集結しています。両国は「ちゃんこ鍋」の聖地。有名店が多数あり、相撲ファンでなくとも楽しめます。
押上・本所吾妻橋周辺
スカイツリーの開業に伴い、お洒落なカフェやビストロが急増。観光客向けのお店もありますが、路地裏には地元民に愛される隠れ家的な名店も点在しています。

自然・公園：都心に近いが緑も多い

「下町＝建物が密集」というイメージがあるかもしれませんが、墨田区にはリフレッシュできる大きな公園や水辺の空間が豊富にあります。

錦糸公園（錦糸町駅北口）
アルカキットの目の前にある、区を代表する公園。広い芝生広場、テニスコート、体育館、子ども用の遊具エリアが揃い、週末は多くのファミリーで賑わいます。桜の名所としても有名です。
隅田公園（本所吾妻橋駅・浅草駅近く）
隅田川沿いに広がる公園。スカイツリーと浅草の五重塔を同時に望める絶景スポットです。春の「隅田公園桜まつり」や夏の「隅田川花火大会」のメイン会場であり、区民の憩いの場となっています。
大横川親水公園
スカイツリーのふもとから錦糸町方面へ続く、約1.8kmの細長い公園。水遊びができるエリアや釣りができるエリア、ユニークな遊具が整備されており、子どもたちの格好の遊び場であり、大人の散歩コースにも最適です。
文化施設
「すみだ水族館」（ソラマチ内）、「両国国技館」、「江戸東京博物館」（※2026年春まで大規模改修工事のため休館予定）など、休日に楽しめる文化施設が身近にあるのも大きな魅力です。

墨田区の住みやすさと「子育て環境」

近年は子育て支援にも力を入れており、ファミリー層からの注目も高まっています。

墨田区の保育園・待機児童の状況

都心部の宿命とも言える待機児童問題。墨田区の状況はどうでしょうか。

2024年4月時点では、墨田区の待機児童数は「0人」を達成しています。これは、区が積極的に保育園の新設や定員拡大を進めてきた成果です。

しかし、「待機児童0」＝「希望する園に必ず入れる」わけではない点に注意が必要です。

保育園の入りやすさのリアル
「待機児童」の定義には、「特定の園（駅近や新設園）のみを希望して入れなかった場合」は含まれないことがあります。
錦糸町駅や押上駅といった人気エリアの0～2歳児クラスは、依然として競争率が高い状況が続いています。認可保育園に入るためには、共働きでフルタイム勤務（指数が高い状態）であることが前提となるケースが多いです。
区の取り組み
墨田区では、認可保育園の整備だけでなく、小規模保育事業や認証保育所の誘致にも力を入れ、多様な保育ニーズに応えようとしています。

墨田区独自の充実した子育て支援制度

墨田区は、独自のきめ細やかな子育て支援制度が充実している点で評価されています。

子どもの医療費助成
東京都の制度（中学3年生まで）に加え、区独自の助成として「高校生等医療費助成（マル青）」を実施。高校3年生の年齢（18歳に達する日の属する年度末）まで、保険診療の自己負担分（一部負担金）が助成されます。これは23区内でも手厚い部類に入ります。
「すみだ子育てサポーター」事業
研修を受けた地域住民（サポーター）が、妊婦や未就学児のいる家庭を訪問し、家事や育児のサポート（沐浴補助、買い物代行、上の子の世話など）を有料（低価格）で行ってくれるサービス。親族のサポートが得にくい核家族にとって、非常に心強い制度です。
「赤ちゃん・子育て応援交付金」
国の交付金を活用し、妊娠届出時に5万円、出生届出時に5万円（合計10万円）相当の応援ギフト（専用サイトで使えるポイント）を支給しています。
その他
産前産後サポート（ヘルパー派遣）、病児・病後児保育、一時預かり事業なども充実しており、共働き世帯を強力にバックアップする体制が整っています。

子育て環境の面でも、墨田区は「過去の下町のイメージ」から、「支援が手厚く、共働きしやすい街」へと進化を遂げていることがわかります。